連結納税制度の改正(平成22年度改正)

2010年6月15日

平成22年度の税制改正により、連結納税制度を導入する企業グループが増えているようです。

従来は、連結の納税制度の採用に伴って子法人の繰越欠損金が切り捨てられていましたが、改正により、「連結納税開始時の時価評価対象法人以外の子法人」の繰越欠損金は連結納税制度に持ち込めることとなり、その子法人の個別所得金額を限度として損金算入されることとなったためです。

よって、この「連結納税制度開始時の時価評価対象法人以外の子法人」に該当するかどうかが極めて重要なのですが、これには、長期継続保有の子法人や株式移転により親会社を設立した一定の子法人などが該当します。

ただ、適用要件に該当したとしても、最大のメリットである、グループ内の損益通算と、特に中小企業であれば、交際費の損金算入枠や、中小企業の軽減税率の適用枠が一括計算されるなどのデメリットとを比較し、慎重に検討する必要があります。

完全子会社の青色欠損金の引継ぎ

2010年6月1日

平成22年度税制改正では、平成22年10月1日以後に100%完全支配関係子会社を解散し、その残余財産を確定させた場合、その子会社株の消滅損が損金不算入とされました。

しかし、支配関係が生じた事業年度からの青色欠損金は引き継げることとなりました。逆にいうと、支配関係が生じる前の青色欠損金は引き継げないこととなります。

また、引き継げない青色欠損金が生じるのは、残余財産確定の日の翌日の属する事業年度開始の日の5年前の日から継続して支配関係があるかどうかが基準となっています。

今現在完全支配関係のある子会社を解散しようと検討している場合には、平成22年10月1日以前に行うか、それ以降に行うか、あるいは、それ以降であったとしても、残余財産確定の日をいつにするかによって大きく引き継げる青色欠損金が変わる可能性があります。

赤字子会社は、ある意味解散時期が少しずれてもいい場合が多いはずです。事前にいくつかのパターンを検討する必要があるでしょう。

グループ法人税制

2010年5月2日

グループ法人税制においては、個人による支配か、法人による支配かが特に重要です。

例えば、グループ法人間における譲渡取引については、帳簿価額で売買しても税務上はなんら問題が生じないとも思えますが、個人による完全支配のグループ法人間においてはそうはいきません。

仮に、簿価5,000万円、時価1億円の土地を、グループ法人に5,000万円で売却した場合、売却した会社においては、税務上は

寄付金 5,000万円 譲渡益 5,000万円

で寄付金は、損金不算入、譲渡益は益金不算入となり課税関係は生じませんが、

購入したグループ法人における税務上hの仕訳は

土地 5,000万円 受贈益 5,000万円

となり、この受贈益は、

法人による完全支配の場合には、益金不算入となりますが、個人による完全支配の場合には、益金不算入とはなりません。

よって、このグループ法人税制においては、まずは、グループ法人税制の適用対象となるか、そして、法人による完全支配関係か、個人による完全支配関係かの判定が重要となります。

逆にいうと、この支配関係(株主構成)を変更してグループ法人税制の適用対象となる、あるいは、適用対象から外れるあるいは、個人による支配を外れるなども可能で検討の余地があるということになると思われます。

定期金に関する権利の評価(経過措置)

2010年4月14日

平成22年度税制改正においては、相続税法の改正により定期金に関する権利の評価方法が見直されたのはご存知のことと思います。

この改正は、平成23年4月1日から適用されるため、平成22年3月31日までに一時払個人年金契約を締結し、据置期間経過後、平成23年3月31日までの間に受取人を変更すれば新法が適用されないとの見方もありました。

しかし、平成22年3月31日に公布された相続税法施行令の一部を改正する政令の附則には、「定期金に関する権利の評価に関する経過措置」がおかれ、契約内容に変更があった場合の新相続税法24条の適用については、その変更のあった日に新たに締結された定期金給付契約とみなすとされました。

そして、この契約内容の変更には、契約者又は受取人の変更が含まれます。

つまり、平成22年3月31日以前に駆け込みで契約を締結して、その後平成23年4月1日までに受取人を変更して贈与をしようと考えていた方々は、高額な贈与税を払う(実際にはそのような方はほとんどいらっしゃらないでしょう)か、相続時精算課税を使うか、贈与をやめるかの判断をせざるを得ないこととなってしまったということになるでしょう。

施行前であったとはいえ、この「後だしじゃんけん」的な経過措置には振り回されるばかりですね。

DES対象債権の評価と税務処理

2010年3月26日

国税庁はこのたび、DES実施時におけるDES対象債権の税務上の時価について、経産省への文書回答で明らかにしました。

文書回答によると「税務上の時価」は、法人税法における「給付を受けた金銭以外の資産の価額」であり、これは、「合理的に見積もられた回収可能価額」に基づき評価するとのことです。

では、この「合理的に見積もられた回収可能価額」とは何かというと、一般的には、①一定の私的整理で定める資産評価基準に従って合理的な再建計画を策定し、②実態貸借対照表を作成した上で、③これをベースに債権者調整等を行った後に決定するものということです。

一方、債権者側においては、DES実施時の交付株式の税務上の取得価額は、法人税法で規定する「給付を受けた金銭以外の資産の価額」であるとされ、これにより、DES対象債権の税務上の時価は、債権者側・債務者側で一致するということになりました。

結果的に債権者側においてDES対象債権の額面金額と交付株式の税務上の時価との間に差額がある場合には、その差額は寄付金とはされず、債権譲渡損として計上することが認められることとなりました。

確かにこの「合理的に見積もられた回収可能額」の明確化は意義深いことです。

しかし、あくまでも、この見解は、企業再生税制の適用対象となる一定の私的整理等(私的整理ガイドライン、RCC、中小企業再生支援協議会、事業再生ADR、企業再生支援機構の関与する私的整理等)でDESを実施する場合に限られたものであることから、私共が多く目の当たりにするオーナー会社間などで行われるDESには適用することができず、まだまだ悩みは尽きないということになってしまいます。